旬 | 周年 |
主産地 | 南極海、北西太平洋〔北海道(網 |
漁法 | ノルウェー式捕鯨 |
クジラは哺乳類クジラ目の総称で、世界の海には83種ものクジラ類がいます。通常は成体の体長が4m以上の種類をクジラ、4m以下をイルカと呼んでいます。身体の特徴から歯のある歯クジラと歯がなくて髭を持った髭クジラに分かれます。ナガスクジラやミンククジラに代表される髭クジラは全部で10種でクジラ類の中では少数派ですが、殆どが大型のクジラです。一方、マッコウクジラ、ゴンドウクジラに代表される歯クジラは、一部を除き殆どが小型です。イルカの仲間は全て歯を持っています。
クジラ肉は比較的潤沢で安価な蛋白源として戦後の食糧難を救ってきましたが、1988年の商業捕鯨一時停止以降は供給が激減し、価格も高騰しました。現在出回っているクジラ肉の主力はは南極海や北西太平洋で行なっている調査捕鯨の副産物です。この供給量は2000年以降徐々に増加していて、2005年には5000トンを上回り、スーパーなどにもだいぶ出回るようになって来ました。日本では、クジラを余すところなく活用し、おいしくいただく優れた食文化を培ってきました。資源の保護を図りながら、この食文化を永く継承していきたいものです。
■出回るクジラ肉の種類
現在出回っている副産物のクジラ肉は、大半が小型のミンククジラです。2006年の供給実績は約5,482トンありましたが、ミンククジラ(65.3%)、イワシクジラ(22.4%)、ニタリクジラ(7.0%)、ナガスクジラ(4.9%)、マッコウクジラ(0.4%)となっています。
■クジラ肉の部位と用途
①赤身
クジラのいわゆる通常の筋肉部分で、クジラ肉の大半を占める。ヒゲクジラの赤身が最もおいしく特に鮮度の良い上級品を使った刺身はとても喜ばれる。他では、水菜と炊くはりはり鍋は関西の名物。生姜醤油に漬けて焼いても、竜田揚げにしても美味しい。
②鹿の子
クジラのあご肉で、白い脂肪の中に赤い肉が鹿の子状に散らばっていて美しく、食欲をそそる。身質は硬めだが薄くスライスしてすき焼きにすれば最高の味。クジラ1頭からわずかしか採れないため、非常に高価。
③畝須
ヒゲクジラの下あごからへその手前までの縦に走るアコーディオン状の白い部分が畝、その内側の赤い部分を須の子と云い、この二つが一緒になったものが畝須。豚肉のバラ肉に似た感じで、ベーコンはこの部位からつくられることが多い。
④尾の身
クジラの体長を四等分にした下四分の一の胴体と尾羽の一番細い部分にいたる部位。霜降り状で非常に美味ながら高価。大きいヒゲクジラのものほど品質が良く、現状ではナガスクジラの尾の身が最高とされる。ミンククジラでは1頭から数キログラムしか採れない貴重品。
⑤尾羽
クジラのシッポの部分。骨は無く脂肪、ゼラチン質が豊富で、薄くスライスして茹でるとチリチリに縮む。これがいわゆるオバイケで、白く独特の歯ごたえがあり辛子酢味噌で食べると美味しい。
⑥さえずり
クジラの舌の部分。驚くほど脂肪分が多く、通常はベーコンに加工されているものが多い。
⑦皮
クジラを覆う厚さ4~6㎝の皮で、畝須を除いた部分、本皮と呼ぶ。非常に脂肪分が多く、鍋などに赤身と一緒に入れるとコクが増して美味しい。おでんに使うコロはマッコウクジラの本皮を炒って脂を抜き、乾燥させたもの。